『その他の効用』

穿心蓮が広範囲にわたって、穏やかながらも難病とされる種々の疾患に対してその効能が現れていることがわかってきました。また、どの書物や研究成果・報告をのぞいて見ても、全く無毒に近いことが記述されており、同時に昔からその密かな効用が伝えられ、また試行錯誤して使用されてきていることも事実です。この穿心蓮がもたらしてくれる薬理効果にいま本当に注目が集まってきている感じがします。

様々な効用については所論がおきるところですが、諸般の研究報告や書物からの抜粋を以下に掲げておきます。また、新しい研究や発見が見つかり次第順次ここに載せてゆきたいと思います。

【風邪とそれにともなう諸症状】

 風邪においてはスウェーデンのハーブ研究所などでは、風邪をひいてる集団とひいてない集団によって3ヶ月の間検査結果から、3ヶ月後では顕著にその効果が認められたとあります。穿心蓮を服用した集団が風邪をひく割合は、服用していない集団と比較して30%低い発生率であるのに対し、服用していない集団のそれは60%と高い発生率であったのです。これは穿心蓮を服用していない場合、風邪をひく危険性は、服用した場合の 2.1倍も高いという判定です。こうした予防効果は免疫を刺激する作用があるアンドログリフォリドによるものであると考えられます。
 穿心蓮の投与量を増してみた時、その治療効果は更に大きくなることが判り、鼻水、鼻づまり、扁桃腺、咳、熱、頭痛、などの不快症状がすでにある場合にも効果が認められたのです。
 さらに疲労感、喉の痛み、筋肉痛などにおいては服用4日後にはその効果が現れたとあります。このことからこの研究者は 4%の Andrographolideを含有する穿心蓮を投与すれば、風邪の治療に有効であると結論づけています。

【バクテリア類に対して】

 穿心蓮は、従来の薬では殺すことが出来ないバクテリアに対して効果のある重要な成分を含有していると考えられますので、日常的服用が効果的です。通常は、抗生物質で殆どのバクテリアは殺されますが、わずかに生き残ることがあり、生き残った(耐性を有した)バクテリアが増殖して感染を引き起こしどんな強い薬でも効かなくなってしまうことが最近の医療現場で問題となってきています。
 穿心蓮や他のハーブは、バクテリアを直接殺す力は無いものの、抗生物質と一緒に服用するとさらなる効果があることがわかりました。

【下痢止め効果】

 抗生物質の服用は、バクテリが抗生物質に対して抵抗力を持つようになってしまいます。
 下痢止剤としては実に種々な薬があり、これらの薬の多くは好ましくない副作用もついてきます。穿心蓮エキスはE.coilバクテリア感染による下痢に対して顕著な効果があることが判っています。急性のバクテリア性下痢症の患者に対しての効果は、実に83%に及びます。他の調査では、バクテリア赤痢症の 92%にその治癒効果を引き出しています。
 何故その効果があるか完全には明らかにされていませんが、下痢止めに大変有効であることは事実なのです。

【下熱効果・疼痛】

 穿心蓮は、熱、疼痛(pain)、腸の障害にもよく効きます。特に、下熱効果があることは、幾つかの研究室ですでに実証されています。高熱症状に対しての鎮痛作用はアスピリンに比べると弱いのですが、下熱作用はアスピリンと同じ効果であったことが判明しています。また驚くべきことに潰瘍をも防ぐ作用があることも判っています。潰瘍の治療薬としてよく使われるシメチダイン(cimetidine)は潰瘍の拡大を85.43%に抑える効力があるのに対して、穿心蓮の効力は43%にまで抑える効力があることがわかったのです。
 胃酸や酸性の胃液分泌を抑える作用があり、しかも潰瘍治療につきものと言える副作用の心配がまったくと言っていいほど無いのです。こうした実証の中で、まったく毒性がないので安全性の点において大きな利点がある事を多くの研究者は指摘しています。

【抗炎症作用】

 更に、脳の下垂体における副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)の合成と解離を増進させる作用があってこれが抗炎症作用につながるという研究があり、デヒドロアンドログラフォロイドの効用が明かにされました。ACTHは、体内でつくられる抗炎症作用のある コルチゾール (副腎皮質でつくられる物質)をつくる副腎腺の働きによるものです。

【心臓疾患】

 心臓などの血管成形手術やバイバス手術には、血流低下の再発という問題があります。その発生率は高く、50%の患者は再手術を必要とされています。血管成形手術を受けたあと再手術が必要になった患者は、最終的にはバイバス手術を受ける結果になっています。
 穿心蓮は、血管成形手術後にみられる血管の狭窄を防ぐ作用も持ち、うさぎでの研究では血管の収縮を防止する効果が判かっています。投与しなかった場合、調査した100%に動脈狭窄が認められたのに対して、投与したうさぎの場合ではそれが 70%に数値が落ちたのです。

 はげしい心筋梗塞で破壊されてしまった心筋状態の患者の内80~90%の患者の心臓には、症状が出始めた直後に血液凝固が認められます。凝固した血液を溶かして狭窄した動脈の血流を良くしてくれる薬品がいつの時代でも求められていますが、穿心蓮はこの目的に適したものであるといえます。

 中国の医科大学での犬を使った研究では、心筋梗塞が発作した1時間後に穿心蓮を投与した時、心筋に生ずる障害が減少したと報告しています。さらに、穿心蓮を事前に投与しておくと、心臓における異常な変化を避けられることがその後の研究で判ってきました。
 また、穿心蓮は凝固の原因となる血小板の凝集を防ぐ作用があり、血液凝集(血栓)は認められなかったとも報告されています。そして、体内にでの血液凝固を防止メカニズム を活発化する作用のあることも付け加えられています。

【高血圧】

 穿心蓮は血圧を下げる作用があるという研究報告があります。
 脳で分泌されるホルモンであるノルアルデナリンは血管収縮や心拍数、血圧、血糖値の増加に関係があり、このノルアルデナリンによって上がった血圧は穿心蓮によって下げられることが判ったのです。この降血圧作用は、血管壁の筋肉を軟らかくするものであり、この弛緩作用が血管の狭窄を防ぐと同時に心臓や脳その他の器官への血流を増大させることにつながるのです。
 脳への血流減少は、人体に重大な事態を引き起こす結果を導いてしまいます。

【マラリア】

 穿心蓮のエキスに含まれる活性成分は、マラリアに対しての有効に作用することが判りました。エキスはマラリア発生源の寄生虫の増殖を抑える顕著な効果があるのです。
 この成分中でネオアンドリファイドとデオキシアンドログロファイド2種類の成分が最も有効であることが判明しています。
 抗マラリア薬剤としてよく使われるクロロキンよりもその効果は大きく、その後の研究によって、この効果は肝臓を保護する非酸化酵素であるSODの反応であることが明らかにされています。

【フィラリア菌】

 リンパ管を閉塞して、象皮病と呼ばれる異常な突起物の原因となるフィラリア寄生虫を退治する作用もあります。犬を用いたこの研究は、まったく害を及ぼすような症状は出なかったため、人間に於いても無害であると判断できるとされています。穿心蓮以外でフィラリア菌に対して有効に作用するハーブはこれまでのところ発見されていないのも注目できる点といえます。

【感染症に対する効用】

 レプトスピラ症の治療は穿心蓮の葉から抽出した有効成分で錠剤を製し、1錠中に20㎎の成分が含まれるようにする。大人1回0.1~0.2g、1目4~6回服用。76例の治療結果によると、治癒72例、無効4例との報告です。治癒した痛例にみられたおもな臨床症状と客観的所見はすべて3日以内で明らかに症状が軽減、治療期間中、毒性反応は全くみられなかったとあります。
 このほか、穿心蓮の錠剤を、1回あるいは2回に分けて1週間に3回ずつ続けて服用させ、それを5週間統けてレプトスピラ症の予防に用いたところ、ある程度の効果が得られました。
 この服用期間中には軽度の腹痛,下痢,腰痛,めまい、頭痛などの症状が現れたとの報告がありましたが、すべて1~3日で自然に消えたという結果報告がなされています。